1.導入
みなさま、おはようございます。先週は幸いな復活祭がもてたことを心より感謝いたします。今日の説教では、再び第一コリントに戻ります。さて、これまで学んできましたように、8章から今日の箇所までパウロはずっと同じテーマを取り扱っています。それは「偶像にささげた肉」の問題です。この点については毎回話していますが、今回も簡単におさらいしましょう。古代社会では、肉は貴重な食べ物で、今日のようにいつでもスーパーで買えるようなものではありませんでした。では、古代世界最大のブッチャー、お肉屋さんはどこかといえば、それはゼウスやアポロン、アルテミスなどのギリシャ・ローマの神々を祭る神殿でした。こうした神殿で神様をどうやって礼拝したのかといえば、牛や羊などの家畜動物を屠り、そのお肉を燃やして香ばしい香を焚き、それを神々におささげしたのです。しかし、動物の脂肪を全部燃やしたわけではありません。肉のある部分は、神殿の中での食事会や晩さん会に使われ、それでも残った部分は市場に売られたのです。ですから、「偶像にささげた肉」を食べるという場合、二つの問題がありました。一つは、神殿でのお肉の食事会や晩さん会に果たしてクリスチャンは出てもよいのか、それは偶像礼拝になってしまうのではないか、ということで、もう一つは市場で売られているお肉が、偶像の宮で神々に捧げられた肉のお下がりである場合、その肉を食べてもよいのか、という問題でした。今日の箇所は、これまでの議論の締めくくりとしてパウロはこの二つの問いに対して、具体的な指示を与えています。
“偶像にささげた肉(2)第一コリント10章14~11章1節” の続きを読む