1.導入
みなさま、おはようございます。マルコ福音書のこれまでのところは、イエスが歴史の表舞台に登場するまでの様々な出来事を描いた、導入部のような意味合いがありました。そして今日の箇所からは、有名なエピソードが次々と登場します。本日の箇所の二つの癒しもとても印象的な、有名な話です。そして、こうしたエピソードを読むうえで注意していただきたいのは、これら様々な出来事を通じて見えてくるイエスの狙い、目的です。といいますのも、漫然と福音書を読んでいくと、イエスは何の目的もなくガリラヤの村々を放浪しているような印象を受けてしまうからです。イエスは特に目的も目指すべきゴールもなくあちこち歩き回っていたけれど、その行く先々で可哀そうな人たちに出会い、彼らの悲しみや苦しみに心動かされて、自分に備わっている不思議な癒しの力を用いてそうした人たちを癒していった、そんな風に読んでしまうかもしれません。しかし、イエスは決して漫然とあちこちを放浪して、場当たり的に癒しの業を行っていたのではありません。むしろ、一刻も自分に与えられた時間を無駄にしないように、よくよく考えて、計画的に行動していたとみるべきです。実際、イエスには明確な目的があり、その目的に沿って行動していました。イエスの目指していた目標を一言で言うならば、それは「神の王国」の到来、あるいは「神の支配」の実現です。この地上世界に神の支配を目に見える形で実現する、神ご自身が支配されるというのは、どんなものなのかを人々に具体的に示すことです。
“癒しと赦し
マルコ福音書1章40~2章12節” の続きを読む