1.導入
みなさま、おはようございます。マルコ福音書からの説教は今日で四回目になりますが、この福音書は非常にテンポが速いといいますか、展開がとても急です。前々回、イエスの先駆者であるバプテスマのヨハネが登場しましたが、早くも彼は舞台から消え去り、イエスが歴史の表舞台に登場することになります。この展開の早さがマルコ福音書の魅力でもあるのですが、同時に簡潔な記述の背後にある様々な事情を考えながら、丁寧に1節1節読み進めていく必要があります。今朝のみことばもわずか2節ですが、しかしここには大変重要なことがらが凝縮して書かれています。ここには、まさにマルコ福音書の主題、メインテーマが提示されています。みなさんもよくご存じのベートーヴェンの交響曲5番「運命」、この曲は運命のテーマと呼ばれる「タタタターン」というわずか四つの音が縦横無尽に展開されて壮大な音楽の世界を作り上げているのですが、マルコ福音書における「タタタターン」は「神の王国」という短い言葉です。この言葉、マタイ福音書では「天の王国」とも言われますが、これは四つの福音書ではイエスの言葉として100回近くも登場する非常に重要な言葉です。そして、今日のイエスの宣教第一声で、この言葉がいきなり登場するのです。
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