1.導入
みなさま、おはようございます。マルコ福音書はマタイ福音書やルカ福音書とは違い、イエスの誕生物語やイエスの少年時代の記述がありません。イエスが30歳前後の年齢に達し、伝道を始めるところから始まります。ですから、故郷でどんな少年時代を過ごしたのか、ということは分かりません。むろん、マルコ福音書でもイエスは「ナザレの人イエス」と呼ばれているので、彼がナザレ出身であることは分かりますが、イエスと故郷ナザレの人々との関係については、これまではほとんど言及されませんでした。たった一度だけ、イエスと故郷の人々との関係を垣間見せる場面がありました。それは、イエスの家族がナザレからカペナウムにいるイエスのところに会いに来るという場面でした。しかし、イエスの母や兄弟たちがやって来た目的は、イエスに伝道活動をやめさせて、故郷に連れ戻すためでした。彼らはイエスが気が違ってしまったという噂を真に受けて、イエスを止めに来たのでした。このエピソードから分かるように、イエスとその郷里の人々との関係は必ずしも良好ではありませんでした。
“故郷での拒絶マルコ福音書6章1~13節” の続きを読む