1.序論
みなさま、おはようございます。先週はマルコ福音書を三幕のドラマと考えるならば、ペテロの告白というターニング・ポイントによってドラマは本格的に第二幕に入ったというお話をしました。これまでイエスはガリラヤで大きな奇跡を行いながらも、ではイエスは究極的には何を目指しているのか、彼の人生の目的や使命が何であるのかを明確にはしてきませんでした。もちろんイエスは神の王国の到来が近いこと、神の支配の実現がもうすぐだということを人々にアナウンスしてきましたのですが、神の支配が地上世界で実現するためにイエス自らが果たす役割が何であるのかをはっきりと伝えてこなかったのです。それは詰まるところ「イエスとは誰なのか?」という問いです。イエスが神の支配の到来を人々に伝えるメッセンジャーに過ぎないのか、あるいは自らが人々を率いて神の支配を実現させていくリーダー、つまり王なのか、こういう疑問が弟子たちの間にもあったのです。
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