1.導入
みなさま、おはようございます。今日は午後から教会総会がありますので、いつものパウロの第二コリント書簡からの講解説教をお休みして、福音書からメッセージをさせていただきます。今年の元日礼拝でも福音書からメッセージをしましたが、その理由は聖書全体の中でも四つの福音書は特別な重要性を持っているからです。使徒パウロは新約聖書の約半分の文書を書いた大変重要な人物で、彼の書簡からは教会について大切なことをたくさん学べます。しかしあえて言うならば、パウロ書簡を含めて考えても、聖書全体の中で最も大切なのはイエスの生涯について語る福音書であるのは間違いないことです。私たちの信仰は、常にイエスを見上げ、イエスに倣うことで形成されていきます。ですからこれからも特別な機会には福音書に帰り、福音書からメッセージをしていきます。
さて、いうまでもないことですが、福音書は一つだけでなく四つあります。その四つの内のマルコ、マタイ、ルカ福音書はお互いによく似ているので共観福音書と呼ばれます。しかし、よく似てはいますが、良く調べるとそれぞれに特徴があり、イエス様の描き方にも違いがあります。ルカ福音書の描くイエス像は、とりわけそのやさしさ、憐み深さが強調されています。イエス様のたとえ話の中でも最も有名なものは「良きサマリヤ人」と「放蕩息子の話」ですが、この二つはルカ福音書にのみ収録されています。これは注目すべきことです。この二つの譬えは、見捨てられた人、失われた人に対する神の強い愛を私たちに教えてくれますが、これはルカ福音書全体が大変強調している点でもあります。失われた人の救いという意味では、あのザアカイさんの話もルカ福音書にだけ収録されています。今日は、このように非常にルカ福音書らしい話である「良きサマリヤ人」の話をみなさんとじっくり読んでいきたいと思います。
“あなたは誰を隣人としますか?ルカ福音書10章25~37節” の続きを読む