1.導入
みなさま、おはようございます。エレミヤ書からの説教は今回で6日目になります。エレミヤ書をじっくりと読んで、エレミヤという人物について思い巡らす時に、彼の預言者としての歩みには大きく分けて前半と後半がある、ということが見えてきます。彼の預言者人生は40年にも及びますが、そのおおよそ半ばごろ、大きな出来事、衝撃的な出来事があり、それがエレミヤの人生にも深い影響を与えました。その出来事とは何かといえば、「王の死」です。王様、あるいは指導者の突然の死は、その国に甚大な影響を及ぼすことがあります。その指導者が優れた人物で、改革の先頭に立っているような場合、それはなおさらです。私たちの記憶に新しいところでは、アメリカのケネディ大統領のことを思い浮かべるかもしれません。彼は1963年に暗殺されましたが、その死はアメリカだけでなく、日本に住む人たちにも大変なショックを与えたと言われます。そのころちょうど太平洋横断テレビ放送が始まったのですが、アメリカから届けられた最初の放送が大統領の暗殺という、なんとも忘れがたい出来事になってしまったのでした。ケネディの暗殺がなければ、アメリカは泥沼のベトナム戦争に突入することはなかったと言われています。現在のアメリカの年間軍事予算は70兆円以上もあり、日本の一年間の税収よりも多いのですが、このような異様なアメリカの軍事国家化は、ケネディが仮に8年間大統領を務めていたら、あるいは阻止されたかもしれないし、世界の歴史は変わっていたかもしれません。このように、指導者の死は、その家族や近親者だけでなく、一国の運命、ひいては世界の運命にも影響を及ぼし得るものです。
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