ネヘミヤの改革(2)
ネヘミヤ記13章1~31節

1.序論

みなさま、おはようございます。1カ月前の説教では、バビロン捕囚からユダヤの人々が祖国に帰還した後の混乱の時代、富む者がますます富み、貧しい者はますます貧しくなるという格差社会になっていたユダヤ社会を改革するために奮闘したユダヤの総督ネヘミヤについて学びました。ネヘミヤは、聖書が理想として掲げる、神の前にすべての人が平等な社会の実現のために尽力しますが、彼が偉かったのは、自らが身を切る改革を行ったことです。率先垂範という言葉がありますが、まず範を垂れる、つまり模範を示したのです。ネヘミヤは貧しい人たちに貸したお金や穀物について、返済をすべて免除してあげて、さらには総督として自らの報酬を12年間も貧しい人々に寄付したのです。その彼の姿を見て、これまで貧しい人々の困窮を顧みなかったユダヤの大金持ちたちも、ネヘミヤと全く同じようにはできないものの、今までの在り方を改め、具体的には元本返済までは免除しないものの本来取るべきではない利息については返還した、ということを学びました。

“ネヘミヤの改革(2)
ネヘミヤ記13章1~31節” の
続きを読む

ネヘミヤの改革(1)
ネヘミヤ記5章1~19節

1.序論

みなさま、おはようございます。今年から、毎月月末は旧約聖書からメッセージをさせていただいておりますが、今月は翌週がペンテコステ礼拝なので、第三週に旧約聖書からのメッセージをさせていただきます。本日取り上げるのはネヘミヤ記ですが、ネヘミヤはよくエズラとセットで、エズラ・ネヘミヤ記と呼ばれることがあります。この二人の人物の共通点は、いずれもペルシア帝国の統治下で活躍をしたユダヤ人だということです。このペルシア時代の状況を知ることがネヘミヤの働きを知る上で重要なので、まずはその話をさせて頂きたいと思います。

“ネヘミヤの改革(1)
ネヘミヤ記5章1~19節” の
続きを読む

エズラ・ネヘミヤによるユダヤ教
ネヘミヤ記13:1-9
森田俊隆

今日はネヘミヤ記です。先月はエズラ記でしたが、今日のネヘミヤ記はエズラ記と一体のものであり、エズラはユダヤ教の骨格を打ち立てた学者であり、ネヘミヤは政治指導者として、そのユダヤ教を民族の宗教としてユダヤ人に実行せしめた、と言う関係にあります。このエズラ、ネヘミヤが確立した宗教が本来の意味でのユダヤ教と言ってよいでしょう。後期ユダヤ教と言います。これ以前は、ユダ王国の宗教が存在しましたが、国家祭儀としてのユダヤ教です。後期ユダヤ教は国家なき宗教であり、ユダヤ教の信仰者共同体がユダヤ民族である、という世界でも稀に見る民族を誕生させたのです。通常、民族と言うのは基本的には人種から形成されるものです。その民族が共通の言語を持ち、共通の宗教を持つようになって、民族が形成されていくのです。ユダヤ人は人種的な出発点こそ、セミ族の一つと見られますが、雑多な部族の混血によりなっており、人種的に共通性がある訳ではありません。ユダヤ人とはユダヤ教を信ずる人、ということであり、宗教共同体が民族となった、民族です。この民族は、よく言えば波乱万丈の歴史を経験し、苦難の歴史の中で宗教のみが共通点というユダヤ人が生まれたのです

“エズラ・ネヘミヤによるユダヤ教
ネヘミヤ記13:1-9
森田俊隆
” の
続きを読む